様々な理由で会社を潰した人たちの話

はじめに

2008年に創業、翌年の2009年2月9日に株式会社SYNを設立し、10年、そして11期目(決算が8月末のため、2009年の9月時点で2期目に突入)に突入しました。当時は大学生で右も左も分からず、起業といえばホリエモン、みたいな感覚でしたが、この歳になって全然違うな、と思ってきました。この「起業の種類」のようなものはまた次回気が向いたときにでも更新します。

 さて、2009年に起業してから10年で起業家の知り合いの半分くらいがどこかにいなくなった感覚があるのですが、今回はその人たちが消えていった理由について実際にあった話を中心に書いてみたいと思います。

 ちなみにどうでも良い話ですが、10年前の会社のロゴは花をモチーフにしており、今でもけっこう好きなんです。

モチベーション維持ができなくなった

 モチベーション維持ができなかったパターンは起業して2〜3年くらいの人に一番多いパターンかと思いますが、正直私の周りではこれが一番多かったように思います。

 多分起業したことがない人だとピンとはこないかもしれませんが、起業して2〜3年経つともう半端じゃなく弛緩します(※私の個人的意見であり、人によります)。最初の頃は、普通に「軌道に乗っている会社の社員さんが1日8時間働いて残業までして成立してるんだから、俺は1日10時間休まず働くぞ!」くらいのモチベーションで挑んでる人も多いです。アドレナリン出まくってて多少のことじゃへこたれません。

 しかし、うまくいくようになってくると、「少し休んでも良いんじゃね」って気持ちが湧いてきます。少し休むくらいなら良いでしょうが、少しずつ感覚がずれていって、出勤が11時とかになる人もいます(実際、私が中小企業の社長さんに平日電話したとき、1~2%くらいの確率ですが11時に「今電話で起きた」って言われることがありました)。

 そのとき、怒ってくれる人はどこにもいません。

 そうなった結果でしょうか、私の周囲にも「新宿の某女の子のいるお店でチップに5万」とか「毎日深夜3時〜5時まで飲んでタクシーで帰る」とかする人がいました。経営者仲間に話を聞いていると会社を潰す人の行動パターンとして、一定数間違いなくいるようです(女性社長の場合はブランド品買い漁り&ホスト通いが多いみたいです)。

 その結果、社員の心が離れ、チームワークはバラバラになり、社員が離れていきます。

 自分1人じゃ成り立たなくなっていた会社は、社員が離れると同時に回らなくなり、結果倒産となりました。

 さよなら新宿の「ギ◯◯◯ガールズ」で飲みまくってたIT社長。

まぁ、多少気持ちは分かるんです。経営者ならではの悩みって、なかなか社員さんには相談できません。だから1人で悩んで、1人でストレス抱えて、1人で飲むようになって、そのうちに話を聞いてくれる人がいるお店へ…って流れでしょうか。会社の経費じゃなくて「みんなに悪い」と自腹で飲んでる人の方が、精神細くて会社潰しやすい気がするのは、気のせいだと良いなと思います。

詐欺にあった


割と少なくないです、マジで詐欺師は日常にいます。

数年前、大手IT企業の総務部長を経て起業したというおじさんと出会いました。

ビルオーナーを所有している方がその方のパトロンとなっていました。

彼は様々な大手企業とパイプがあると言い、高級感のあるラウンジ等での打ち合わせを好みました。

あまり具体的なことは書けませんが、テレビで放映されている◯◯◯との絡みでその関係者(著名な方々含む)と飲み会をしたり(直接連絡先の交換はさせてもらえない)、そういった方々のゴルフコンペへ招待してくれたり(当時はゴルフ出来なかったのでついていっただけ)、何か今思えば『そんなに派手なことはしたことがなさそうだけど、堅実そうな経営者』を集めて、その人たちをきらびやかな世界へいざなってくれるような存在でした。

ちなみに私はこの後辺りで、業務内容や営業計画に疑問を呈しまくってお別れしました(周囲にはひどい病気で入院したと伝えられたそうです)。

なのでここからは聞いた話です。

その後、その方の尽力もあって様々な事業計画が実行に移されたそうです。

そして、その時期に、中東圏のインフラ整備事業で関係各位から出資を募り、数千万のお金とともに失踪したとのことです。

騙されたのはたくさんいた関係者のうち6人か7人とのことですが、再起不能なレベルとのこと…。

今だったら騙されないと思いたいですが、詐欺師はマジですごいです。

少なくとも(自分も対等に付き合っているはずなのに)関係者と自由に連絡を取らせてくれないタイプの人間は注意すべきです。

ちゃんと警戒しないと、ほんとやばい。

経営計画のキャッシュフローがあまり見えず、夢みたいなことをたくさん言っていて怪しいなぁと感じるんですが、有名企業の人とか著名人とかたくさん出てきちゃうもんでついつい騙されちゃうんでしょうね。10年やって分かったことですが、経営者ってお客さんだと認識されていることが多く、そのつもりになれば著名人とは割と知り合えます。不思議だなって少しでも感じたら、先輩経営者の知恵を拝借することをオススメします。

番外編 単純に計算ができていなかった

ほんとにたまにいるタイプです。

「売れば売るほど赤字になるものを売ってしまう」「何故かサービス残業前提の資金計画」など。

計画性が完全に破綻しているタイプです。

おそらく経営計画段階で倒産が運命づけられているタイプ。

周りからすごい止められているのに直進するタイプに多く、大体自己資金(+消費者金融とかで借りられる金額)くらいなので傷はそんなに深くなりません。

ただしたまに1大ブラック企業を築き上げます。

そうなると「自分には才能があった」と勘違いして、さらにやりたい放題のワンマン社長になるため注意が必要。

実体験では、
「このサービスを月100件こなそう」
「いや、想定しているやり方だとどう計算しても赤字だよ」
「とりあえずやってみないと分からない」
「いや、競合他社全部IT化してるでしょ、あえて人力にしたら売れたとかそういうジャンルのサービスじゃないからこれ」
「いやいや、俺がやってみたいんだから良いんだ」
(数ヶ月後)「音信不通(風の噂で借金が…)」

これは個人的にはどうしてそうなるのか分かりません。個人の中に確信があるパターンでしょうか。強引さの面では意外と飲食店やパチンコ店でガンガン稼いでいくタイプに近いのですが、彼らはちゃんと計画性を持ち合わせています。経営者が経営計画立てないなら何のためにいるんだろう…?

おわりに

いかがだったでしょうか。

他のパターンもたくさんあると思いますが、身近なパターンを挙げてみました。

もっと深堀りしてよ!って要望があればどんどんしていきます。

ちなみに、倒産した会社の社長が音信不通になるのは別に借金取りに追われて夜逃げしてるとかじゃないです。

今の法律じゃ借りてる側の人権もけっこうあるので、そんな無茶なことされることはあんまないみたいです。

音信不通になるのは、単に「合わせる顔がない」「連絡するのがめんどくさい」「潰しちゃったイキってたのに恥ずかしい」みたいな感じです。

経営者の立場ってすごく魅力的で、止めにくいってのもあるかもしれません。

一度やってしまうと、失敗しても何度も挑戦したくなりますが、再起するためには借金とか返さないといけないんですよね。

そのため倒産後は、「以前いた世界とのお別れ」くらいの気持ちで次の人生に挑んでいるのかもしれません。

About the Author

澤田純平

1988年1月30日生まれ、東京理科大学中退。株式会社SYN(この会社)の代表取締役社長。東京青年会議所(東京JC)所属。新しい企画や未知の事業を体験することが趣味。とりあえずやってみる。