はじめに
皆さんはファクタリングというサービスをご存知だろうか。これは借金とは全く違うサービスで、経済産業省からも「売掛け金という流動資産による資金調達、もっとやろうよー!」とオススメされている資金調達方法の一つだ。このサービスは一般的には法人がメインで、「毎月取引のある企業との売掛け金」でしか資金調達できないこともあり、手数料の関係から少額では厳しいとされてきた。
しかし、今回記事にした【FREENANCE】はそのような概念を覆すサービスだ。フリーランサーを相手にしたファクタリングでは1回毎の利用は少額だし、どうやって儲けを確保しているのか。また、サービスとして成立しているのか。疑問が尽きない。法人代表の私が申し込みをするのでは明らかに迷惑なので、知り合いのフリーランサーにお願いして登録していただき、実際に使用感をヒアリングしてみたのでご紹介する。
口座開設とは何のことか

【FREENANCE】では専用口座開設無料を謳っているが、ファクタリングを使ったことがない人はそもそもこれが分からないのではないだろうか。【FREENANCE】の場合、GMOあおぞらネット銀行の口座を作成し、売掛金の振込先をその口座に指定する必要がある。その口座名義は自分の名義のため、顧客にバレることなく振り込んで頂くことができ、GMOグループはその口座からファクタリングで先払いした費用を回収するということになる。
さっそく登録してみた
メールアドレスを認証し、パスワードを設定。その後電話番号を聞かれ、住所などの詳細な情報も入力していった。ここでは借入の有無も聞かれる。口座情報や身分証のアップロードなど全てを終えると、審査がある。
ここまでは数分。でも審査が大体2週間。即日がウリの【FREENANCE】なのに2週間もかかるのか…と思っていたら、わずか3,4日で本人受け取り必須(多分家族も受け取れる)の住所確認ハガキが到着。確認コードを入れたら、審査に合格していた。
ログイン後にできること

口座の開設が完了すると、口座番号などの詳細が書かれた画面へログインできるようになる。なお、この画面下に「与信スコア」「現金化上限額」「ファクタリング手数料(画面上では標準手数料)」が記されている。この画面にログインできた時点で、いくらかの金額が設定されており、あとは請求書をアップするだけとなる。
与信スコアの上昇について

「与信タスク」をクリアーすることで与信スコアをアップさせることができる。それにより、現金化上限額等が引き上げられる。SNS連携のような簡単なもの及び公共料金の領収書アップロードの場合、与信スコアは10しか上昇しなかったが、Moneytree連携ならば与信スコアは50上昇した。これらを全てこなした結果、与信タスクは80上昇し、現金化上限額が15万円アップした。しかし、手数料の変動はなかった。公式によると、手数料はファクタリングを繰り返すことで変動するらしい。最後に、与信タスクであるFacetimeでの通話を行なったので、次の項目で報告する。
Facetimeでの通話による与信スコアの上昇

Facetimeでの面談をある日の14時〜16時で予約したところ、14時3分に着信があった。通話は10分ほどで終了。その後3営業日で(今回は金曜日に電話したため、実質土日を挟んで5日後に)、与信スコアが140上昇した。さらになんと、限度額は50万円上昇。手数料率も8%になった。手数料率の変化は大変大きい。Facetimeでの面談は是非実行するべきだろう。
なお、面談内容は、「仕事内容」「クラウドソーシングを使っているかどうか」「会計は青色申告かどうか」「営業はどのようにしているか」といったような内容だった。今回オフィスではなく外で通話を受けたようだが、問題無く与信スコアは上昇した。
個人相手ではできないファクタリング
【FREENANCE】は比較的甘いサービスに見えるが、取引相手は法人のみが対象である。また、法人名で検索して取引相手として登録しなければならない。これが実は一苦労で、名前でしか検索できないため、似たような名前が多いと特定するのに苦労する。きちんと法人番号を持つ、登記された実在の会社でないと請求書の買取はできませんよ、ということだ。
正午を過ぎたら翌日振込の「即日払い」を利用してみた

フリーランサーさんが取引先一覧から当社を選択し、請求書を【FREENANCE】にアップロード。僅か5分ほどで終わる。これで利用申請は完了。これから審査を受ける。【FREENANCE】では正午を過ぎると振込が翌営業日になるため、即金が必要な人は午前中に申請・審査通過しなければならない。今回の場合、審査は4時間以上かかったので、即日振込希望の場合に対応できるとは思えない。おそらく、最短翌日の正午振込になる。なお、当然タイムラグがあり、今回は12時10分〜30分頃の着金になった。
結果として、請求金額から10.21%の源泉徴収が引かれた振込総額から、【FREENANCE】の手数料10%が引かれた金額が振り込まれた。
エビデンスの提出について
審査通過の前、「取引のエビデンスを提出してください」とメールがきた。発注書や契約書、その他条件等のメール履歴等を送って欲しいとのこと。また、通帳をコピーし、前回振込があったことを示す必要があった。
しかし、他のファクタリングサービスに比べると遥かに簡単な審査である。なお、出さないまま2,3日経過すると審査落ちする模様。
審査は甘い?審査のポイント予測
少し迷惑な話かもしれないが、提出するエビデンス内容に差をつけて数回試してみたところ、パターンがあったのでご紹介する。なお、本件はフリーランサーが今後本当にお金に困ったときの為も含めて、決して本記事のためだけではなく使用している。
①やりとりの日時が分かるデータがないと審査通過率が低かった
②請求書の送付に関するエビデンス(スクショ等)があった方が通過率が高かった
③同一請求先に多額の請求をするとエビデンス以外の理由で審査落ちする可能性がある(※あくまで予測)。根拠としては、審査落ちの際エビデンス不足の場合、「明確なエビデンスが示されなかったため、保証会社の審査がおりませんでした。」等と理由が出るが、要求されたエビデンス項目を全て揃え、かつこれまでに審査が通過したレベルのエビデンスを提出した場合でも「保証会社の保証がおりませんでした。」と審査落ちするケースがあったためだ。もちろん、同一請求先への多額の請求(おそらく請求先の信用度レベル?)以外にも、「担当者次第で通ったり通らなかったりする」といった理由も考えられる。
金融ブラックでもフリーナンスは利用可能
過去にクレジットカードを飛ばしてしまっていたり借金を返せなくなってしまったりして、金融ブラックの方でも【FREENANCE】は利用可能だ。何故ならこれは借り入れではなく、「売掛金を買ってもらう」サービスだからだ。実際、金融ブラックの友人(個人事業主)1名(そんなに複数は用意できない…)に登録してもらったところ、容易に登録ができ、与信スコア320、限度額も25万ついた。
ざるだらけ?本当に大丈夫なのか
マネーロンダリング対策としてSPネットワークと提携して反社チェック等を行なっているようだが、本当にこのシステム、穴はないのだろうか。例えばこのファクタリング、珍しいことに通帳を必要としない。つまり、これまで毎月取引があったとか、そういった要素は一切不要なのだ。そうなると、新設法人登記後、その会社に請求大量に出して、その後会社潰せば「反社チェックに引っかからなかった悪い人」がいくらでも悪用できるのではないか。
この話は結局審査通過率によるものが大きいが、スピード感を考えるとチェックは3人が一読くらいがせいぜいなのではないか。もしくは、「印鑑が押してあるかどうか」等のチェック項目を20項目くらいチェックして、合計何チェックできたかで判断する等の機械的なものではないのか。どちらにせよ、個人事業主でファクタリングを利用する場合、非常にお金に困っているケースが多く、【FREENANCE】というサービスの存続性には疑問が残る。
しかしながら、使用するユーザー側にはほとんどリスクがないため、個人事業主の方は登録しておけば急な出費に対応しやすくなるだろう。何より、「将来貰えるお金を先に貰う」というサービスなので心理的負担も軽い。このサービスが不正利用されることなく上手く回れば、フリーランサーにとって素晴らしいものとなるだろう。
最後に、仮に1ヶ月後の入金でこの【FREENANCE】を使った場合、手数料10%必要になる。借り入れで換算すれば約年利120%(正確ではない)の借金をしているようなものである。最も安い手数料で3%のため、1日発行の請求書で翌月末入金(2ヶ月)とかのサイクルなら年利18%となる。消費者金融と一緒だよ!笑
そんなわけで多くの場合、明らかに借金の方が利率が良いため、相当な心理的抵抗があるのでなければ、【FREENANCE】は最後の砦として登録だけしておいて、急場凌ぎには借金をおすすめする。